私たちの身体は連続的な圧縮構造(楣構造、組積構造)と捉えがちですが、筋膜の繋がりを考えることで張力構造として捉えることができます。
連続的な圧縮構造
筋骨格系だけで身体の構造を考えてしまうと、レンガを積み上げたような連続的な圧縮構造(組積構造)として捉えがちになってしまいます。
一般的な構造物のように、静止した状態ほじするのであればそのように捉えても問題無いかと思いますが、私達は行為を行うため連続した圧縮構造として捉えてしまうと無理が出てきます。
また、連続した圧縮構造で保つためには人の骨は小さ過ぎと指摘されています。
ではどうのような構造が人に近いのでしょうか?
それは張力構造であるテンセグリティ構造が人に近い構造だと言われています。
テンセグリティ構造
テンセグリティとはテンションとインテグリティを掛け合わせた造語です。
圧縮力と張力で構造が保たれているという構造のことを指します。圧縮材がお互いに接点を持たないということが構造の特徴になります。
テンセグリィーの特性
この構造の一番の特性は柔らかということ。上の図は、荷重に対する変位を表したものになりますが、トラス構造に比べ荷重に対して変位を起こしていることがわかります。
変位を起こしながらも荷重に対応できるという面白い構造特性が、人の身体に近いと言われる所以です。
人の組織もテンセグリティ構造の特性に似ている線形硬化と呼ばれる性質を持っており、引っ張ると硬くなる性質を持っています。
また、細胞の振る舞いもテンセグリティ構造の特性に類似していると言われています。
人間の身体では?
全身をテンセグリティ構造として考えてみると、圧縮力は骨、張力は筋膜として考えることができます。
全ての部位がテンセグリティ構造で表せるかというと難しいかと思いますが、剛性を保ちながらも行為を行うと考えると、私たちの身体はテンセグリティ構造に近い構造をしているのではないとか思います。