身体の側面の筋筋膜の繋がり「LL」は、前額面の調整だけではなく矢状面の調整にも関わります。
LL(Lateral Line)とは?
トーマス・マイヤース氏の著書「アナトミー・トレイン」では、筋筋膜の直列の繋がりが著されいます。
その中にLLと呼ばれる身体の側面を繋げる筋と筋膜の直列の繋がりがあります。
長・短腓骨筋、腸頸靭帯、大腿筋膜張筋、大臀筋、内・外腹斜筋、内外肋間筋、胸鎖乳突筋、板状筋が筋膜によって体側に直列の繋がりを持ちます。
身体が垂直方向への伸展をしている時、左右にあるLLが協調的に働くことで姿勢保持、動作時において前額面(内転・外転)の調整を行います。
また、運動学、解剖学的な特徴から矢状面への調整も行います。
矢状面での機能
LLは運動学、解剖学的な特徴から矢状面での調整にも影響を与えます。
長・短腓骨筋
長・短腓骨筋の作用は主に足部の底屈と外反(回内、外転)に働きます。
足部の底屈・背屈は単純に底屈と背屈をしているのではなく水平面、前額面の動きを伴います。
背屈には回外と外転、底屈には回内と内転が伴うため、
長・短腓骨筋は底屈時には水平面での動きで、背屈時には矢状面での動きに拮抗し足部の動きをコントロールします。
腸脛靭帯
膝伸展位では腸脛靭帯の後面の緊張が強まり、屈曲45°では前面の緊張が強まることで矢状面での動きをコントロールします。
また、腸脛靭帯は大腿部に広く繋がりを持っており、
SLRではハムストリングの2.4倍の張力が加わると言われるほど大腿部全体に影響を与えます。
大臀筋、大腿筋膜張筋
骨盤の前後傾に関わり、大臀筋の張力は骨盤を後継に大腿筋膜張筋の張力は前傾に働き矢状面のコントロールに関わります。
外腹斜筋、内腹斜筋
内・外腹斜筋の走行はその名前の通り斜めに走行しているため、骨盤、胸郭の矢状面でのコントロールに関わります。
胸鎖乳突筋、板状筋
内・外腹斜筋の走行と同様に斜めに走行しているため、頭頸部の矢状面での調整に関わります。
LLの協調性の低下
垂直方向への伸展が困難となりLLの協調性が低下すると姿勢の崩れが見られます。
左右のLLの協調性の低下は機能性の側弯症として現れ、張力が強い側は短縮位をとり、張力が弱い側は伸張位をとります。
また、前述の通り矢状面での調整にも関わるため姿勢保持の代償として使われることが多いです。
LLを協調的に働かせるためには
身体が重力に拮抗した垂直方向へ伸展している必要があります。
垂直方向へ伸展することで左右の筋筋膜の繋がりに均等に張力が生まれ協調的に働くことができます。
垂直方向への伸展の姿勢についてはこちらから